Nature ハイライト
膵臓腫瘍:膵臓がんのイニシエーション
Nature 590, 7847
膵臓などの組織では、損傷によって誘導される炎症と発がん性変異は協働して腫瘍発生を促進するが、発がんシグナルがなければ炎症は消散して組織は再生されることが知られている。S Loweたちは今回、膵臓がんのマウスモデルにおける形質転換の初期と後期の時点を調べ、膵臓炎とKras変異が組み合わさると、損傷単独やKras活性化単独では接近できなかった新たな座位でクロマチンが速やかに開くようになること、そしてこれらの座位の多くは腫瘍プログレッションの間、接近可能な状態のままになっていることを報告している。特に、エピジェネティックに発現上昇した遺伝子の1つである損傷関連サイトカインIL-33は、Kras誘発性形質転換の促進における組織損傷の作用を模擬した。これらの知見は、腫瘍発生を駆動する遺伝的損傷と環境的損傷の相互作用に新たな光を当てるものである。
2021年2月25日号の Nature ハイライト
原子核物理学:散らかった陽子の内部をじっくりと見る
実験物理学:定常状態マイクロバンチングに向けて
材料科学:意外な相乗効果
植物科学:イネの窒素利用効率を高める遺伝子
細胞生物学:栄養外胚葉細胞は、アポトーシス細胞の残屑を分散させ、ファゴサイトーシスで除去する
コロナウイルス:精製したポリクローナル抗体はSARS-CoV-2からアカゲザルを防御できる
コロナウイルス:COVID-19肺炎の細胞機構の解明
膵臓腫瘍:膵臓がんのイニシエーション
DNA修復:DNA二本鎖切断修復の際のループ押し出し機構
ウイルス学:ロタウイルスが細胞に侵入する仕組み