Nature ハイライト
地球物理学:海洋トランスフォーム断層の三次元的性質
Nature 591, 7850
プレートテクトニクスでは、海洋トランスフォーム断層が、リソスフェアが形成されることも破壊されることもない保存型の二次元横ずれ境界であると理想化されている。今回I Grevemeyerたちは、一連の海洋トランスフォーム断層とそれらに隣接する断裂帯で得られた高分解能のマルチビーム海底地形データをまとめた結果を提示し、トランスフォーム構造谷が、隣接する断裂帯より系統的に、予想外に深いことを見いだしている。海嶺とトランスフォーム断層の交点における付加は極めて非対称的であると思われ、交点の外側の角では、起伏がより小さくてより広範な火山活動が見られるのに対し、内側の角では、深い節状の海盆があり、マグマが欠乏しているようである。著者たちは3D数値モデルを用いて、こうした特徴が、トランスフォーム変形帯内部の塑性せん断破壊によってプレート境界が深部で次第に斜め方向のせん断帯になることで、説明できることを示している。これは、トランスフォーム断層系における付加が二段階過程であることを意味しており、大洋中央海嶺に沿った他の場所とは根本的に異なる。
2021年3月18日号の Nature ハイライト
材料科学:ファンデルワールスヘテロ構造を巻物状に巻く
環境科学:米国本土の河川の3分の2が地下の帯水層に水を失っている可能性
地球物理学:海洋トランスフォーム断層の三次元的性質
動物学:ヤツメウナギ類のアンモシーテスは比較的最近出現した
集団遺伝学:古代DNAでたどる東アジア人の集団史
神経科学:皮質と線条体の関係の部位対応性
幹細胞:機械力が幹細胞ニッチを維持する
進化微生物学:硝酸の消費を伴う呼吸
コロナウイルス:ヒト化マウスにおけるSARS-CoV-2の複製と抑制
細胞生物学:ミトコンドリアDNA切断の細胞による感知
生物工学:バイオセンサーの新しい定番