Nature ハイライト

進化微生物学:硝酸の消費を伴う呼吸

Nature 591, 7850

ミトコンドリアは、約20億年前に、現代の真核細胞の前駆細胞がアルファプロテオバクテリア綱の細菌を飲み込んだことから生じたもので、好気性呼吸によるATPの生成を担っている。絶対嫌気性原生生物の場合、ミトコンドリアの派生器官(ヒドロジェノソームとして知られる)がピルビン酸発酵と水素生成によりエネルギーを産生する、という別の機構が進化したと考えられている。J Grafたちは今回、予想外の展開により、嫌気性繊毛虫宿主において、呼吸脱窒経路を介してATPを生成する絶対内部共生体(「Candidatus Azoamicus ciliaticola」)を発見した。この発見から、ミトコンドリアとは完全に独立したATP生成の機構が示唆され、また、ミトコンドリアの派生器官を持つ真核生物が、そのミトコンドリアの機能を補完または置換するために、エネルギーを供給する内部共生体を獲得している可能性が示された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度