Nature ハイライト
コロナウイルス:SARS-CoV-2の現在拡散中で懸念されている変異株に対する中和活性
Nature 593, 7857
P Wangたちは今回、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のさまざまな変異体(B.1.1.7変異株とB.1.351変異株を含む)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した患者由来の血清、ワクチン既接種者由来のモノクローナル抗体と血清によるウイルス粒子の阻害にどのような影響を及ぼすかを報告している。COVID-19回復期患者由来の血清抗体の変異株に対する中和能は低下していることが実証され、スパイクタンパク質特異的な30種類の中和抗体の中で変異株によって効果が損なわれない抗体が突き止められた。また、ワクチン既接種者由来の血清でも、回復期患者の血清でのデータが再現され、調べた血清サンプルはどれもが、B.1.351変異株に対する中和活性は大幅に低下していたが、B.1.1.7変異株に対する中和活性の低下はそれほど大幅ではなく、血清サンプル全体を通じて見られるわけではなかった。これらの結果を総合すると、これら2種類の変異株は現在のワクチンの効果を低下させる恐れがあり、また現在すでに臨床で利用されていたり、あるいは開発中である数種類のモノクローナル中和抗体に対して抵抗性を示す可能性があることが明らかになった。
2021年5月6日号の Nature ハイライト
天体物理学:銀河団Abell 3376の磁場で屈曲したジェット
素粒子物理学:生き残りの機会を得た標準模型
物性物理学:黒ヒ素におけるラシュバ効果と量子ホール効果
気候科学:将来の海水準上昇予測に見られる大きな幅
生態学:アフリカ中部の森林の植物相的および機能的な組成
発生生物学:生体外でのマウスの発生
コロナウイルス:SARS-CoV-2の現在拡散中で懸念されている変異株に対する中和活性
コロナウイルス:BNT162b2ワクチンによって誘発されたSARS-CoV-2中和抗体に対するB.1.1.7変異株の感受性
コロナウイルス:回復期血漿を用いたSARS-CoV-2変異株の交差中和