Nature ハイライト

コロナウイルス:回復期血漿を用いたSARS-CoV-2変異株の交差中和

Nature 593, 7857

A Sigalたちは今回、真正の生ウイルスを用いた中和アッセイを行い、南アフリカでの感染の第一波と、501Y.V2株による感染が支配的であった第二波の際に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した成人から採取した血漿を用いて、重症急性呼吸器症候群ウイルス2(SARS-CoV-2)の懸念される変異株(VOC)である501Y.V2と非VOC株であるB.1.1.117の中和を比較している。著者たちは、501Y.V2は感染第二波のウイルスに感染した患者の血漿により、また感染第一波のウイルス株は感染第一波のウイルスに感染した患者の血漿により、それぞれ効果的に中和されるが、501Y.V2ウイルスは感染第一波のウイルスへの感染者由来の血漿ではほとんど中和されないことを報告している。流行早期の変異株により抗体が誘発された血漿による501Y.V2の交差中和が弱いのに対して、501Y.V2変異株により誘発された抗体を含む血漿は早期の変異株を効果的に交差中和した。これは、501Y.V2に対して設計されたワクチンは、この変異株だけでなく、他の変異株も交差中和できる可能性があることを示す予備的証拠であり、ワクチン設計に直接的な影響を与えそうだ。

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