Nature ハイライト
構造生物学:細胞周期におけるセパラーゼ調節の構造基盤
Nature 596, 7870
有糸分裂の際には、プロテアーゼであるセパラーゼの活性化が染色体分離の引き金となる。セパラーゼは、複製された2本の染色体を1つにまとめているコヒーシンタンパク質を切断する。セパラーゼの活性化は、その阻害物質であるセキュリンとCdk1–サイクリンBの分解によって引き起こされる。今回A Bolandたちは、セキュリン、もしくはCdk1–サイクリンBと複合体を形成したヒトセパラーゼの高分解能のクライオ電子顕微鏡構造を決定し、セパラーゼの分子レベルでの調節について、初めて得られた知見を明らかにしている。どちらの複合体でも、セパラーゼを阻害しているのは、基質の結合を妨げる偽基質モチーフである。著者たちは、Cdk1–サイクリンBがセパラーゼ自身の持つ複数の自己阻害ループを用いることでセパラーゼを阻害するという、関心を集めそうな結果を報告している。
2021年8月5日号の Nature ハイライト
惑星科学:極域のオーロラによる木星の上層大気の加熱
光物理学:非線形フォトニック系における量子化された輸送
物性物理学:液体金属類似物質における擬ギャップ
有機化学:電気化学的なアジリジン合成方法
進化学:はるかに古い海綿動物の化石候補
神経科学:発達中の神経系の空間パターンを決める
コロナウイルス:SARS-CoV-2の懸念される変異株に対するモノクローナル抗体の有効性
コロナウイルス:SARS-CoV-2 mRNAワクチンはロバストな胚中心B細胞応答を誘導する
微生物学:共生菌類に対するIgA応答
遺伝学:CpGアイランド遺伝子を活性化する
構造生物学:細胞周期におけるセパラーゼ調節の構造基盤