Nature ハイライト
物性物理学:強相関励起子絶縁体
Nature 598, 7882
励起子絶縁体は、励起子の自発的形成に起因し、励起子については伝導状態だが電荷については絶縁状態である。理論的には、励起子絶縁体では励起子の凝縮体や超流動体が現れると予測されているが、これまでのところ、実験的に報告されているのは励起子絶縁体の存在を示す特徴だけである。今回K Makたちは、遷移金属ジカルコゲニド2層半導体において、強相関励起子絶縁状態の直接的な熱力学的証拠を報告している。電気的に絶縁した2枚の遷移金属ジカルコゲニド層の間のバイアス電圧を調整して電子–正孔束縛対が存在する領域に合わせると、空間的に間接的な準平衡励起子流体が観測されたが、自由電子や自由正孔が存在する領域ではこうした流体は観測されなかった。今回の結果は、エキゾチックな励起子量子相や応用向けの多端子励起子回路の実現への第一歩である。
2021年10月28日号の Nature ハイライト
物性物理学:強相関励起子絶縁体
エネルギー科学:高速イオン輸送のためのセルロースの分子操作
エネルギーインフラ:ソーラーパネルを探す
古海洋学:210万年前に強化されたインド洋循環
生態学:植物による過去の降水の利用
生理学:電気鍼治療の神経解剖学的機構
神経科学:報酬消費の調節におけるオピオイド系の役割
免疫学:宿主–微生物相の相互作用に対して腸の分泌型IgAが担う機能的役割
免疫療法:がん免疫療法への代謝マイクロバイオームの連携
ウイルス学:VEEVの構造について得られた新たな知見
構造生物学:発生ホルモンによるシグナル伝達のスナップショット