Nature ハイライト
免疫学:宿主–微生物相の相互作用に対して腸の分泌型IgAが担う機能的役割
Nature 598, 7882
T Rollenskeたちは今回、細菌と宿主の関係が形作られる際の、さまざまな細菌分子を標的とする特定の分泌型IgA(SIgA)の個別の役割を調べている。腸で見られるのと同じIgAをモノクローナルの二量体の形で評価したところ、糞便から新たに単離した細菌を、非分裂中、分裂中、死滅中のプロファイルに分類できただけでなく、抗原が表面結合性の特性を持つか非表面結合性の特性を持つかという観点からも分類することができた。この研究から、腸内細菌への特定の時間枠での曝露が、主に細菌膜を標的とする抗原特異的IgAを分泌する多様な形質細胞の選択につながることが実証された。個々の二量体モノクローナルSIgA(mSIgA)は、正確な標的抗原に依存して、特異的な代謝調節を行ったり、バクテリオファージ感染を防御したりする。これらの抗原依存的な効果に加えて、表面結合IgAは、抗原非依存的に、細菌の運動性を低下させたり、胆汁酸によって誘導される膜損傷を防いだりする。
2021年10月28日号の Nature ハイライト
物性物理学:強相関励起子絶縁体
エネルギー科学:高速イオン輸送のためのセルロースの分子操作
エネルギーインフラ:ソーラーパネルを探す
古海洋学:210万年前に強化されたインド洋循環
生態学:植物による過去の降水の利用
生理学:電気鍼治療の神経解剖学的機構
神経科学:報酬消費の調節におけるオピオイド系の役割
免疫学:宿主–微生物相の相互作用に対して腸の分泌型IgAが担う機能的役割
免疫療法:がん免疫療法への代謝マイクロバイオームの連携
ウイルス学:VEEVの構造について得られた新たな知見
構造生物学:発生ホルモンによるシグナル伝達のスナップショット