Nature ハイライト
コロナウイルス:モデルに基づくSARS-CoV-2の潜在的な拡散の再構築
Nature 600, 7887
J Davisたちは今回、世界規模のエピデミックモデルを使って、欧米における2020年初期の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の潜在的伝播と、その結果起きた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第一波を再構築して解析した。このモデルでは、起こり得るパンデミック(世界的大流行)のさまざまな歴史(アンサンブル)を作成し、これを使って既存のデータに制約を加えている。解析の結果、2019年12月〜2020年1月の欧米でのSARS-CoV-2の初期の持ち込みは、国をまたいだ人の移動が原因であり、これが2020年1月後半まで持続的な地域への拡散につながったことが示された。これは、中国と関連する人のみを対象とした早期の検査方法は大部分が有効ではなく、2020年3月までに検出されていたのは感染の30%以下であったことを示唆している。感染源が急速に変化したという証拠は、迅速な対応能力が将来的に必要であることを浮き彫りにしており、これはこの種のグローバルモデルで早期に提供できる可能性がある。
2021年12月2日号の Nature ハイライト
量子物理学:超流動体の渦を衝突させる
光物理学:光によって誘起された局所的メカニカルソリトン
生態学:マンモスステップの終わりの始まり
神経科学:意思決定における不確実性を解消する
微生物生態学:窒素を固定する海草の共生細菌
微生物学:微生物相による抗糖尿病薬の修飾
メンタルヘルス:COVID-19とメンタルヘルス
コロナウイルス:モデルに基づくSARS-CoV-2の潜在的な拡散の再構築
生化学:ALKの活性化
構造生物学:かゆみとアレルギーの受容体を見る