Nature ハイライト
考古学:卵殻のビーズがつないだアフリカの古代ネットワーク
Nature 601, 7892
古代DNAの研究から、アフリカ人の遺伝的系統は東部と南部とで約35万~7万年前に分岐したと示唆されている。しかし、ダチョウの卵殻(OES)のビーズの形状の経時的な変化に見て取れるように、文化的なつながりはその後も持続していた可能性がある。OESビーズは、一般に小型の円形で、中央に穴が空いており、サイズや形状はドーナツ型のシリアルとほぼ同じか、それよりやや平たい。今回、こうしたOESビーズが新たに調べられ、その起源がアフリカ東部にあることが明らかになった。この地域のビーズは、本体と穴の直径が5万年にわたってほぼ一定で、ごくわずかな変化しか見られない。こうしたビーズの製作は、約5万~3万3000年前に地域的な集団のつながりを介して南方へと広がった。アフリカ南部のビーズは東部のものより多様で、最初は東部と同様にかなり大きかったが時間とともに小型化した。その後、東部と南部のつながりは散発的になり、南部のOESビーズは3万3000年前以降に消滅したようだ。これは気候条件の悪化が原因であった可能性があり、この地域の集団は2000年前以降に牧畜民が南部に移動するまで隔離されたままだった。南部の新しいビーズは、サイズが著しく小型化しており、本体も穴も直径が小さくなっていた。今回の研究は、アフリカの地域集団が相互作用した時期および場所を条件付ける上で、気候のプッシュプル機構が重要な役目を果たしたことを示唆している。
2022年1月13日号の Nature ハイライト
天文学:C–O–Neの星雲におけるWC/WO型星の爆発
物性物理学:ボソン系の異常金属相
工学:MRAMデバイスのクロスバーアレイ
エネルギー科学:電池の電解質用のエラストマー
環境科学:大気汚染への曝露の格差の拡大
考古学:卵殻のビーズがつないだアフリカの古代ネットワーク
神経科学:関連情報を選択的に記憶に保存する
植物科学:イネの免疫受容体を介した防御機構
微生物生態学:多数のバイオームにわたる微生物遺伝子マップ
生物地球化学:メタン生成菌における炭化水素分解経路
がん:ピートのパラドックスを検証する
分子生物学:DNA修復におけるHELQの2つの機能
生化学:SLGTによるナトリウムおよび水の輸送機構
生化学:構造から分かったグルコース輸送体阻害剤の作用機構