Nature ハイライト
Cover Story:過去を予測:人工知能が古代ギリシャのテキストを復元し、地理的起源と年代を特定する
Nature 603, 7900
碑文(金石文)から、古代世界に関する貴重な知見が得られる。しかし、数世紀を経て、多くの碑文は損傷を受け、断片化した形や判読しにくい形で存在しているため、読み取ったり解釈したりする作業が極めて困難になっている。今回Y AssaelとT Sommershieldたちは、古代ギリシャの碑文の復元と理解に役立つよう設計されたディープニューラルネットワーク「イサカ(Ithaca)」について報告している。イサカは、単独では損傷したテキストを62%の正確さで復元できるが、歴史学者がイサカを用いると、同じ作業の正確さが72%に向上した。さらに、イサカは碑文の地理的起源を71%の正確さで特定し、その年代を歴史学者が提案する年代範囲の30年以内に特定することもできた。著者たちは、こうした人工知能と歴史学者の共同作業は、古代世界の研究の変革に役立つ可能性があると述べている。
2022年3月10日号の Nature ハイライト
天体物理学:高離心軌道を持つブラックホール同士の合体
量子光学:超狭線幅の発光を示す希土類分子結晶
ナノスケール材料:モアレ励起子の電子と正孔の画像化
フォトニクス:LiDAR用の大面積モノリシックセンサー
ナノスケールデバイス:ゲート長がサブナノメートルのMoS2トランジスター
地球科学:地球マントル内の弱い立方晶ペロブスカイト
人類学:4万年前の中国における技術的革新と文化的多様化
進化学:サハラ以南のアフリカの更新世末期の人口動態
心理学:相手をよく知れば、相手にもよく知られていると感じる
神経科学:ハエと哺乳類で学習の神経基盤はよく似ている
分子生物学:ミトコンドリアが若返りのカギを握る
化学生物学:腸内微生物相に対するコリバクチンの影響
医学研究:多発性硬化症の抗体はEBVと自己抗原に交差反応する
がん:乳がんを退縮させるHER2三重特異性抗体
がん:がんのKRASサイレント変異から明らかになった治療脆弱性
構造生物学:忠実度が高いCRISPR–Cas9を作るためのヒント