Nature ハイライト
遺伝:ゼブラフィッシュのゲノム解読
Nature 496, 7446
ゼブラフィッシュは、発生やヒト疾患の研究に用いられる重要なモデル生物の1つである。今回そのゲノム塩基配列が解読され、詳しい注釈付けを行ったゲノム参照配列が発表された。ゼブラフィッシュは、これまでにゲノムが解読された脊椎動物すべての中で遺伝子数が最大で、偽遺伝子はほとんど持たないことが明らかになった。疾患研究に特に重要なのは、ヒトとゼブラフィッシュのゲノム塩基配列の比較から、ヒト遺伝子の70%について、明らかにオルソログであるゼブラフィッシュ遺伝子が少なくとも1個存在するとわかったことである。もう1つの論文では、ゼブラフィッシュのすべてのタンパク質コード遺伝子について破壊的変異を見つけ出して表現型を解析するという、現在進行中の研究プロジェクトが報告されている。このプロジェクトでは、ゲノム参照配列、ハイスループットDNA塩基配列解読法および高効率の化学的変異誘発法を併用して得られた最初の成果(既知の全タンパク質コード遺伝子の38%に及ぶ)として、1000個以上の対立遺伝子の表現型に及ぼす影響が明らかにされた。このプロジェクトの長期目標は、ゼブラフィッシュゲノムのすべてのタンパク質コード遺伝子について、ノックアウト対立遺伝子を作製することである。すべての変異対立遺伝子とデータは、go.nature.com/en6mosで無料で入手できる。
2013年4月25日号の Nature ハイライト
量子物理学:「量子性」を検証する古典的方法
システム生物学:ヘルパーT細胞の分化の制御
免疫:HIVの進化と抗体形成のパターン
構造生物学:溶液中巨大分子構造の新しい評価方法
計測:生細胞内の生体磁気構造体を視覚化する
地球:マントル物質循環の時間スケール
遺伝:ゼブラフィッシュのゲノム解読
免疫:高塩濃度と自己免疫疾患との関連
構造生物学:リン酸輸送体タンパク質の構造