Nature ハイライト
免疫:高塩濃度と自己免疫疾患との関連
Nature 496, 7446
塩濃度の上昇は、インターロイキン17を産生するヘルパーT(TH17)細胞のCD4+ T細胞からの産生を刺激することで自己免疫疾患を促進することがわかった。この予想外の結果は、別々に研究を行った2つのグループが共に明らかにしている。C Wuたちは、マウスでは塩濃度の上昇がin vitroでもin vivoでも、T細胞でSGK1(serum glucocorticoid kinase 1)を誘導し、TH17の分化を増強することを明らかにしている。また、M Kleinewietfeldたちは、塩がSGK1とp38 MAPキナーゼ/NFAT5経路の活性化に依存する機序によって、マウスとヒトでTH17細胞を誘導することを見いだした。高塩食を与えられたマウスは、脳の炎症モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎がより重症となり、これは浸潤するTH17細胞の数が増えることが原因である。これらの研究から、ヒトでは塩分摂取量が多いと、組織の炎症と自己免疫疾患が引き起こされる可能性が考えられる。
2013年4月25日号の Nature ハイライト
量子物理学:「量子性」を検証する古典的方法
システム生物学:ヘルパーT細胞の分化の制御
免疫:HIVの進化と抗体形成のパターン
構造生物学:溶液中巨大分子構造の新しい評価方法
計測:生細胞内の生体磁気構造体を視覚化する
地球:マントル物質循環の時間スケール
遺伝:ゼブラフィッシュのゲノム解読
免疫:高塩濃度と自己免疫疾患との関連
構造生物学:リン酸輸送体タンパク質の構造