Nature ハイライト
Cover Story:ワクチンによる救済:致死的な感染症を引き起こす真菌のカエルツボカビによって絶滅の危機にある両生類が免疫付与により救われる可能性
Nature 511, 7508
真菌病原体であるカエルツボカビ(Batrachochytrium dendrobatidis、略称Bd)は世界中で多くの両生類の減少に関わっていることが示されている。これまで、両生類がこの病原体に対する抵抗性を獲得できる証拠はほとんどなかったが、今回J Rohrたちは、キューバズツキガエル(Osteopilus septentrionalis)などの複数種の両生類で実験を行い、カエルがこの病原体を回避することを学習したり、Bd反復曝露後に生じるBd誘導性免疫抑制を克服し得ること、また、死んだ病原体を用いてBdに対する免疫を獲得できることを実証した。現在行われている保護計画では、感染の恐れのある両生類をBd陽性の生息地から移し、飼育下で繁殖させている。こうした個体について、ワクチンを使って抵抗性を誘導してから野生に戻すようにすれば、壊滅的な個体数減少が見られた地域でも数を増やすことが将来的に可能になるかもしれない。
2014年7月10日号の Nature ハイライト
細胞:幹細胞種間の比較
免疫:エンドドキシン耐性とトリプトファン異化のつながり
構造生物学:NMDA受容体の小孔の構造
量子物理学:量子速度測定法
応用物理学:スマート薄膜カラーディスプレイ
海洋化学:北大西洋の鉄供給源
行動経済学:思いやりのある大多数の人々の票が未来の人々を助ける
動物衛生:ウシ結核の管理での最重要標的はウシ
がん:まれな脳腫瘍の解析