Nature ハイライト
免疫:エンドドキシン耐性とトリプトファン異化のつながり
Nature 511, 7508
エンドトキシン(内毒素)耐性は自然免疫の一部で、細菌のエンドトキシン、すなわちリポ多糖にあらかじめ曝露されていると、その後の曝露に対する宿主応答が低下することを指す。こうした作用は最近また関心を集めているが、その基盤となる機構はほとんど分かっていない。今回、エンドトキシン耐性の出現はトリプトファン異化に依存していることが明らかにされた。この異化作用は、代謝酵素であるインドールアミン 2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)とトリプトファン 2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO2)の連続した作用によっている。これがキヌレニンの産生につながり、さらにアリール炭化水素受容体(AhR)が活性化される。初回のエンドトキシン投与はAhR、TDO2およびインターロイキンによって制御されるが、耐性の持続には、AhR、IDO1およびサイトカインであるTGF-βが必要で、ほとんど免疫病理学的現象が起こらずに病原体が除去される。
2014年7月10日号の Nature ハイライト
細胞:幹細胞種間の比較
免疫:エンドドキシン耐性とトリプトファン異化のつながり
構造生物学:NMDA受容体の小孔の構造
量子物理学:量子速度測定法
応用物理学:スマート薄膜カラーディスプレイ
海洋化学:北大西洋の鉄供給源
行動経済学:思いやりのある大多数の人々の票が未来の人々を助ける
動物衛生:ウシ結核の管理での最重要標的はウシ
がん:まれな脳腫瘍の解析