Nature ハイライト
細胞:幹細胞種間の比較
Nature 511, 7508
今回、体細胞核移植(SCNT)によって作製されたヒト多能性幹細胞と、転写因子による再プログラム化によって作製された誘導多能性幹(iPS)細胞について、遺伝学、エピジェネティクス、転写におけるシグネチャーの違いの比較が行われた。この2つの細胞種は、遺伝学的に確実にマッチするように、ドナー体細胞の同一プールから作製された。iPS細胞とSCNT由来胚性幹細胞は、同程度のde novoコピー数多型を含んでいた。iPS細胞では、親の体細胞に典型的なDNAメチル化パターンが残存するという異常がこれまでに報告されており、今回も予想どおりこの異常が観察されたが、SCNT由来細胞ではこれは観察されなかった。この結果は、SCNTによってヒト体細胞を多能性状態に忠実に再プログラム化できることを示唆しており、従って細胞補充療法での使用にはSCNT由来ES細胞の方がiPS細胞よりも適している可能性が考えられる。
2014年7月10日号の Nature ハイライト
細胞:幹細胞種間の比較
免疫:エンドドキシン耐性とトリプトファン異化のつながり
構造生物学:NMDA受容体の小孔の構造
量子物理学:量子速度測定法
応用物理学:スマート薄膜カラーディスプレイ
海洋化学:北大西洋の鉄供給源
行動経済学:思いやりのある大多数の人々の票が未来の人々を助ける
動物衛生:ウシ結核の管理での最重要標的はウシ
がん:まれな脳腫瘍の解析