Nature ハイライト

細胞:幹細胞種間の比較

Nature 511, 7508

体細胞核移植によって作製したヒト胚性幹細胞。赤色は、初期胚で発現するマーカー(OCT-4)である。
体細胞核移植によって作製したヒト胚性幹細胞。赤色は、初期胚で発現するマーカー(OCT-4)である。 | 拡大する

Credit: OHSU, Center for Embryonic Cell and Gene Therapy

今回、体細胞核移植(SCNT)によって作製されたヒト多能性幹細胞と、転写因子による再プログラム化によって作製された誘導多能性幹(iPS)細胞について、遺伝学、エピジェネティクス、転写におけるシグネチャーの違いの比較が行われた。この2つの細胞種は、遺伝学的に確実にマッチするように、ドナー体細胞の同一プールから作製された。iPS細胞とSCNT由来胚性幹細胞は、同程度のde novoコピー数多型を含んでいた。iPS細胞では、親の体細胞に典型的なDNAメチル化パターンが残存するという異常がこれまでに報告されており、今回も予想どおりこの異常が観察されたが、SCNT由来細胞ではこれは観察されなかった。この結果は、SCNTによってヒト体細胞を多能性状態に忠実に再プログラム化できることを示唆しており、従って細胞補充療法での使用にはSCNT由来ES細胞の方がiPS細胞よりも適している可能性が考えられる。

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