Nature ハイライト
大気科学:清浄な空気中でのエアロゾル粒子の形成
Nature 533, 7604
大気中のエアロゾルが雲や気候システムの放射強制力に及ぼす影響は、まだよく分かっていない。大気中の蒸気からのエアロゾル粒子の核生成は、硫酸が存在しなければほとんど進行しないと考えられている。今回の2報の論文では、高酸化分子(HOM)が新たな粒子の形成と成長を促進させるというこれまで認められていなかった役割を果たしており、汚染がない場合には、本質的にこうした機構でエアロゾルが生成されることが示されている。J Kirkbyたちは、CERNのCLOUDチャンバーにおいて、大気関連の条件の下で硫酸が存在しない場合に、HOMのイオン誘発核生成の結果としてエアロゾル粒子が形成され得ることを示している。また、J Tröstlたちは、同じくCERNのCLOUDチャンバーにおいて、大気条件下で硫酸が存在しない場合に、核生成した有機物粒子の初期成長における有機物蒸気の役割を調べ、初期成長を駆動する有機物蒸気は極めて揮発性が低いことを見いだしている。粒子サイズが大きくなると、その後の成長は主に、揮発性がやや高くより豊富に存在する有機物蒸気によって起こる。
2016年5月26日号の Nature ハイライト
神経科学:ケタミン代謝産物の抗うつ作用
幹細胞:造血幹細胞の形成を解明
がん:ギャップ結合形成阻害剤による転移の減少
細胞生物学:ミトコンドリアおよび核での発現を調整する
宇宙物理学:赤い間欠泉が決める星形成の上限
大気科学:清浄な空気中でのエアロゾル粒子の形成
進化論:ショウジョウバエの精子が巨大な理由
マイクロバイオーム:ヒト腸内細菌相のメタゲノム解析
免疫学:CD4陽性T細胞は神経組織への抗体の移行を可能にする
構造生物学:抗生物質の標的の構造