Nature ハイライト
神経科学:ケタミン代謝産物の抗うつ作用
Nature 533, 7604
NMDARアンタゴニストのケタミンには、迅速で持続的な抗うつ作用がある。このため、ケタミンと同様の抗うつ特性があるが望ましくない副作用のない別のNMDARアンタゴニストの探索が行われている。今回T Gouldたちは、(R,S)-ケタミンの抗うつ作用には、その(2S,6S;2R,6R)-ヒドロキシノルケタミン(HNK)への代謝が必須であり、(2R,6R)-HNK鏡像異性体がマウスにおいて迅速で持続的な抗うつ作用を及ぼすことを示した。これらの作用はNMDARに依存していないが、AMPARの活性化を必要とする。重要なことに、(2R,6R)-HNKはケタミンに伴うような副作用を示さない。これらの知見から、迅速に作用する新規の抗うつ剤を開発するための新たな選択肢が示唆される。
2016年5月26日号の Nature ハイライト
神経科学:ケタミン代謝産物の抗うつ作用
幹細胞:造血幹細胞の形成を解明
がん:ギャップ結合形成阻害剤による転移の減少
細胞生物学:ミトコンドリアおよび核での発現を調整する
宇宙物理学:赤い間欠泉が決める星形成の上限
大気科学:清浄な空気中でのエアロゾル粒子の形成
進化論:ショウジョウバエの精子が巨大な理由
マイクロバイオーム:ヒト腸内細菌相のメタゲノム解析
免疫学:CD4陽性T細胞は神経組織への抗体の移行を可能にする
構造生物学:抗生物質の標的の構造