Nature ハイライト
マイクロバイオーム:ヒト腸内細菌相のメタゲノム解析
Nature 533, 7604
ヒトの腸内細菌相を構成する細菌はおそらく何百種にも上る。その大半は「培養不可能」と見なされ、これまで実験的に単離されたことはなかった。今回T Lawleyたちは、表現型標的培養法(targeted phenotypic culturing)を大規模な全ゲノム塩基配列解読、系統発生解析、数理モデル作製とを組み合わせた新規な手法を使って、ヒト腸内微生物相のかなりの部分を培養した。さらに、健康なヒトの糞便試料に対してこの方法を適用し、137種の細菌が純粋培養として単離された。そのうち45種は、新種である可能性がある。単離された細菌の科の半数以上が、宿主から宿主への伝播に特化した回復力の強い胞子を形成することも分かった。今回の結果により、表現型に基づく研究が、腸内微生物相が健康や病気に果たす役割の解明に役立つことが実証された。
2016年5月26日号の Nature ハイライト
神経科学:ケタミン代謝産物の抗うつ作用
幹細胞:造血幹細胞の形成を解明
がん:ギャップ結合形成阻害剤による転移の減少
細胞生物学:ミトコンドリアおよび核での発現を調整する
宇宙物理学:赤い間欠泉が決める星形成の上限
大気科学:清浄な空気中でのエアロゾル粒子の形成
進化論:ショウジョウバエの精子が巨大な理由
マイクロバイオーム:ヒト腸内細菌相のメタゲノム解析
免疫学:CD4陽性T細胞は神経組織への抗体の移行を可能にする
構造生物学:抗生物質の標的の構造