Nature ハイライト
分子生物学:哺乳類ミトコンドリアでの翻訳開始機構についての手掛かり
Nature 560, 7717
真核生物では、細胞のタンパク質の大半は細胞質のリボソームで作られる。しかし、酸化的リン酸化に必要な膜タンパク質は、特化したミトコンドリアリボソームにより翻訳される。ミトコンドリアリボソームによる翻訳の開始には、リーダー配列なしのmRNAが使われるなどの独自の特徴が複数あり、開始機構については十分解明されていなかった。N Banたちは今回、翻訳開始状態にある哺乳類ミトコンドリアリボソームの構造を解いた。この構造により、哺乳類ミトコンドリア開始因子2(mtIF2)に見つかったドメイン挿入がリーダー配列を持たないmRNAの結合と暗号解読の活性化に影響すること、またミトコンドリアタンパク質mL45のN末端ドメインが開始から伸張への移行を調節して、ミトコンドリア内膜のタンパク質輸送孔への呼吸鎖タンパク質の挿入を容易にしているらしいことが明らかになった。これら2つの領域は今後特に関心を集めそうだ。
2018年8月9日号の Nature ハイライト
量子物理学:強い状態を保つスピン–光子結合
寄生虫学:内臓リーシュマニア症の新しい治療選択肢
免疫学:NLRP3インフラマソームの活性化はミトコンドリアDNA合成に依存する
材料科学:グラフェンナノリボンを用いたトポロジー制御
地球化学:キセノン同位体によって明らかになったマントルへの揮発性物質循環の歴史
進化学:頭蓋プラコードと神経堤は共通の進化的起源を持つ
生態学:全球の土壌マイクロバイオーム
免疫学:ミトコンドリアRNAの自己認識
遺伝学:狙った標的を改変するEvolvR
細胞生物学:作用中のダイナミン
分子生物学:哺乳類ミトコンドリアでの翻訳開始機構についての手掛かり