Nature ハイライト
Cover Story:ブラックホールの進化:放出エネルギーの変化を駆動する力
Nature 565, 7738
表紙は、近傍の星から物質が降着し始めたブラックホールの想像図である。恒星質量ブラックホールの降着流の特性は、数日から数か月の時間スケールで変化することがある。物質が降着した後にブラックホールの「スイッチが入る」とき、降着円板(黄色)の上方の高温のコロナ(青色)によって硬い成分(高エネルギー)のX線スペクトルが生じる。その後X線スペクトルは、降着円盤からの放射が支配的な軟らかい成分(低エネルギー)のスペクトルに遷移する。しかし、この状態遷移を駆動するのが降着円盤の半径の変化なのか、コロナの縮小なのかは未解決の問題である。今回E Karaたちは、この論争に終止符を打つのに役立つ可能性がある結果を報告している。彼らは、新たに特定されたブラックホール新星を調べ、国際宇宙ステーションに搭載された機器を用いて、その進化を追跡した。その結果、ブラックホールが硬い放射から軟らかい放射へ進化する間に、コロナは収縮するが、降着円板の内縁は同じ場所にとどまっていることが見いだされた。
2019年1月10日号の Nature ハイライト
物性物理学:量子ホール物質のトポロジカル不変量測定
代謝:熱産生に糖代謝を利用するベージュ脂肪
計算生化学:治療用タンパク質をde novoに設計する方法の改良
恒星進化:白色矮星のコアの結晶化
系外惑星:回転軸の傾きがそろっていない原始惑星系円盤
地球科学:音波速度測定によって明らかになった下部マントルの玄武岩質地殻
古気候学:ゆりかごを揺らす気候
微生物遺伝学:イエメンでのコレラのエピデミックを追跡する
免疫療法:グリオブラストーマ患者での臨床試験におけるネオアンチゲンワクチンの応答
免疫療法:グリオブラストーマ患者のための個別化ワクチン
神経免疫学:脳卒中からの回復における制御性T細胞の役割