Nature ハイライト
古気候学:ゆりかごを揺らす気候
Nature 565, 7738
南アフリカ・ヨハネスブルクの北西に、ヒト族の記録が集中した「人類のゆりかご」と呼ばれる地域がある。ところが、この地域の遺跡の数々には、崩壊した洞窟であるために全ての堆積物が混ざり合っており、洞窟堆積物の正確な年代測定が極めて困難だという問題がある。R Pickeringたちは、これらの洞窟の多くにフローストーン(石筍および鍾乳石)の非常に厚い堆積層があり、これらにウラン–鉛放射年代測定法を用いることが可能であることに気付いた。化石を伴っているのは、フローストーンとフローストーンの間のそれらに挟まれた堆積物層である。彼らは今回、さまざまな洞窟のフローストーンの年代を測定し、それらの相互関係を統計学的手法によって明らかにすることにより、人類のゆりかごの有効な時系列を得ている。これは多くの点でヒト族の記録と一致するが、一致しない点もある。フローストーンは形成するのに水が必要で、洞窟が外界から閉ざされた湿潤期に成長した。一方、化石を含む堆積物は、気候が乾燥して侵食が大きくなり、洞窟が開放された時期に蓄積した。これは、人類のゆりかごの化石記録が乾燥した天候に適応した動物相へと大きく偏ることを意味している。
2019年1月10日号の Nature ハイライト
物性物理学:量子ホール物質のトポロジカル不変量測定
代謝:熱産生に糖代謝を利用するベージュ脂肪
計算生化学:治療用タンパク質をde novoに設計する方法の改良
恒星進化:白色矮星のコアの結晶化
系外惑星:回転軸の傾きがそろっていない原始惑星系円盤
地球科学:音波速度測定によって明らかになった下部マントルの玄武岩質地殻
古気候学:ゆりかごを揺らす気候
微生物遺伝学:イエメンでのコレラのエピデミックを追跡する
免疫療法:グリオブラストーマ患者での臨床試験におけるネオアンチゲンワクチンの応答
免疫療法:グリオブラストーマ患者のための個別化ワクチン
神経免疫学:脳卒中からの回復における制御性T細胞の役割