Nature ハイライト
物性物理学:ベリー曲率双極子による非線形ホール効果
Nature 565, 7739
電気ホール効果は、面外磁場の下で横方向電圧が生じることを記述するもので、量子化されたホール伝導率の発見はノーベル賞につながった。しかし10年ほど前から、量子磁性体において磁場が存在しない場合でも(異常)ホール効果が観測されている。今回、P Jarillo-Herreroたちは、二原子層WTe2における非線形ホール効果の測定には、外部磁場も磁性も必要ないことを実証している。このタイプのホール効果の出現は、二次元遷移金属ジカルコゲニドであるこの二原子層WTe2のトポロジカル特性、すなわち二原子層の層分極ディラックフェルミオンに起因するベリー曲率の双極子モーメントに関係している。今回観測された効果を用いて、非磁性量子金属や半金属のベリー曲率を調べることができる。
2019年1月17日号の Nature ハイライト
構造材料:結晶に学んだ骨格構造体の高強度化
進化遺伝学:正常な食道組織におけるがん変異
構造生物学:HIVが共受容体と結合する過程を可視化する
天文学:GRB 171205A/SN 2017iukにおけるジェットのコクーン
物性物理学:ワイル軌道に沿った量子化ホール伝導率
物性物理学:ベリー曲率双極子による非線形ホール効果
発生生物学:ヤツメウナギの耳の中
神経科学:閉ループの電気的な神経調節
分子生物学:アクチンのメチル化機構の解明
構造生物学:RNAポリメラーゼの構造が示すプロモーター融解