Nature ハイライト
構造生物学:RNAポリメラーゼの構造が示すプロモーター融解
Nature 565, 7739
遺伝子転写開始の際の調節された重要な過程の1つが、RNAポリメラーゼ(RNAP)によるプロモーターDNAの巻き戻しであって、これにより鋳型の一本鎖DNAと結合する開いたプロモーター複合体が形成される。今回、E Campbellたちは、細菌RNAPの部分的に融解した中間体を、抗生物質と結合させることでトラップし、そのクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を明らかにした。今回得られた構造は、DNAを巻き戻して転写バブルを形成中のRNAPの初めての高分解能画像である。これらによって、プロモーター融解の後期の段階はRNAPの活性部位がある裂け目の中で起こることが示され、RNAPの広く保存されている構成要素の役割が明らかになった。この研究は、プロモーターDNA開裂の後期の段階で使われている、全ての細胞性生物に共通する機構の存在を示唆している。
2019年1月17日号の Nature ハイライト
構造材料:結晶に学んだ骨格構造体の高強度化
進化遺伝学:正常な食道組織におけるがん変異
構造生物学:HIVが共受容体と結合する過程を可視化する
天文学:GRB 171205A/SN 2017iukにおけるジェットのコクーン
物性物理学:ワイル軌道に沿った量子化ホール伝導率
物性物理学:ベリー曲率双極子による非線形ホール効果
発生生物学:ヤツメウナギの耳の中
神経科学:閉ループの電気的な神経調節
分子生物学:アクチンのメチル化機構の解明
構造生物学:RNAポリメラーゼの構造が示すプロモーター融解