Nature ハイライト
進化遺伝学:正常な食道組織におけるがん変異
Nature 565, 7739
正常な非がん組織で腫瘍発生を促進する可能性があるがん遺伝子の体細胞性変異について調べるために、そうした正常組織を解析することに関心が高まっている。皮膚や造血系では、正常組織内にがん変異を持つクローンの増殖が見られ、そうしたクローンが加齢に伴って蓄積することが以前に報告されている。小川誠司(京都大学)たちは今回、正常な食道組織で同様の変異を見いだしている。正常な食道組織ではNotch変異を持つクローンの増殖が認められたが、それらには食道がんに進行するものとしないものがあることが分かった。変異を有するクローンは幼少期から生じ、加齢に伴いその数とサイズが増加して、最終的に食道上皮のほぼ全面を占めるようになる。変異型クローンはまた、多量の喫煙や飲酒などのリスク因子とも関連付けられた。
2019年1月17日号の Nature ハイライト
構造材料:結晶に学んだ骨格構造体の高強度化
進化遺伝学:正常な食道組織におけるがん変異
構造生物学:HIVが共受容体と結合する過程を可視化する
天文学:GRB 171205A/SN 2017iukにおけるジェットのコクーン
物性物理学:ワイル軌道に沿った量子化ホール伝導率
物性物理学:ベリー曲率双極子による非線形ホール効果
発生生物学:ヤツメウナギの耳の中
神経科学:閉ループの電気的な神経調節
分子生物学:アクチンのメチル化機構の解明
構造生物学:RNAポリメラーゼの構造が示すプロモーター融解