【動物行動学】飼い犬と飼い主の長期ストレスレベルが同期している
Scientific Reports
2019年6月7日
飼い主の長期ストレスが、その飼い犬のストレスレベルの高さと関連していることを、58匹のイヌとその飼い主を対象とした研究によって明らかにした論文が、今週掲載される。
今回、Lina Rothたちの研究グループは、シェトランドシープドッグ(33匹)とボーダーコリー(25匹)、およびその飼い主の毛髪コルチゾール濃度を測定し、1年を通したストレスレベルの推移を調べた。その結果、ヒトのコルチゾール濃度が上昇すると、イヌ、特に雌のイヌにおいてコルチゾール濃度が上昇することが判明した。この結果は、イヌとその飼い主のストレスレベルが同期している可能性を示唆している。イヌとヒトのストレスの関連は夏と冬の両方で観察されていることから、コルチゾール濃度の季節的変動はストレスの同期性に影響しないことが示唆される。
また、Rothたちは飼い主に、イヌの興奮性、訓練に対する反応性、攻撃性、または恐怖心といった形質を評価する有効な質問票と、飼い主自身の外向性、協調性、または神経症的傾向といった性格特性を評価する有効な質問票への回答を依頼した。その結果、イヌの性格(所有者による分類に基づく)は、飼い主の毛髪コルチゾール濃度にほとんど影響しないことが明らかになった。これに対して、飼い主の誠実性と寛容性という性格特性は、イヌのコルチゾール濃度の上昇と関連し、飼い主の神経症的傾向は、イヌのコルチゾール濃度の低下と関連していた。この結果は、飼い主がイヌのストレスレベルに反応しているのではなく、イヌが飼い主のストレスレベルを反映している可能性を示唆している。
Rothたちによれば、これらの知見はヒトとイヌの関係の強さを裏付けるさらなる証拠であり、イヌの福祉の改善にも重要な意味を持っている可能性がある。
doi:10.1038/s41598-019-43851-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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