【材料科学】核廃棄物貯蔵容器内の材料界面で進行する腐食
Nature Materials
2020年1月28日
核廃棄物形態としてのガラス固化体とセラミックス固化体は、金属製キャニスターに接触すると腐食が加速されることを報告する論文が掲載される。この異種材料間の相互作用は、核廃棄物貯蔵パッケージの寿命に顕著な影響を及ぼす可能性がある。
深地層処分は、高レベル放射性廃棄物を管理するための解決策と考えられている。一部の放射性廃棄物は、ガラスまたはセラミックスで固化された後、周囲環境との相互作用を防ぐために金属製キャニスターに封入され、その後、地下深くの貯蔵所で貯蔵されることになる。長期間にわたって貯蔵を実施するうちに、いずれは貯蔵所の環境物質が廃棄物に浸透する。現在の安全・性能評価モデルでは、個々の材料群の腐食を別々に評価しているにすぎず、貯蔵システムで併用される異種材料間で起こり得る相互作用を無視している。
Gerald Frankelらは、圧力をかけてステンレス鋼とモデル核廃棄物固化材料(ホウケイ酸ガラスとチタン酸塩系セラミックス)を接触させ、模擬貯蔵条件下で腐食を調べた。その結果、ガラスとセラミックスのいずれの場合もステンレス鋼との接触部において腐食が促進されることがわかった。
そうした腐食促進効果が放射性核種の環境中への放出を激化させる可能性があるとFrankelらは示唆している。廃棄物処分の安全性を評価する際や、性能向上に向けて適合可能なバリア材料を選定する際、このことを熟慮すべきであるとFrankelらは結論付けている。
doi:10.1038/s41563-019-0579-x
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