Research Press Release

気候科学:記録的な海洋温度が気候モデルに合致するかもしれない

Nature

2025年3月13日

2023年から2024年にかけての海面水温の大幅な上昇は異常ではあるが、気候モデルを適用する場合には完全に予想外というわけではないことを報告する論文が、Nature に掲載される。この調査結果は、当初懸念されていたほど地球温暖化が予想外に加速しているわけではないことを示唆しているが、それでもなお、この温度上昇は人間活動による気候変動が原因であると考えられることを示している。

2023年から2024年にかけて、世界の海面水温が記録的な高さに達し、それまでの記録を約0.25℃上回った。この急激な上昇により、地球温暖化が加速しているのではないか、また、現在の気候モデルが気候システムを正確に描写しているのかという懸念が生じた。これらの疑問に対処するために、Jens Terhaarらは、観測に基づく統計モデルを使用して、現在の気候パターンに関する理解の範囲内で、このような海面水温の急上昇が起こる可能性を判断した。

このモデルでは、2023年から2024年にかけての海面水温の急上昇は、現在の温暖化傾向と比較して、512年に1度起こるような出来事であることが示された。この結果は、この出来事がまったく予想外のものではなかったことを意味する。しかし、このような異常は、地球温暖化傾向がなければ起こり得なかったであろうと、著者らは指摘している。また、著者らは、このような急上昇の後、海面水温は長期的な温暖化傾向に戻るだろうと予測しており、その時期は2025年9月までと予測している。

2023年から2024年にかけての異常な海面水温の正確なシミュレーションは、現在の気候モデルが目的に適っていることを示していると、著者らは結論づけている。

Terhaar, J., Burger, F.A., Vogt, L. et al. Record sea surface temperature jump in 2023–2024 unlikely but not unexpected. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-08674-z
 

doi:10.1038/s41586-025-08674-z

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度