医学:米国で最初に診断が確定されたCOVID-19患者12人の病勢進行の解析
Nature Medicine
2020年4月24日
COVID-19の呼吸器症状であることが米国で最初に確定された12人の患者のウイルス学的、臨床的、および疫学的特徴についての詳細な報告が今週、Nature Medicine に掲載される。もっと大きなサンプルサイズでの研究が加われば、COVID-19の病勢進行について理解を深め、臨床管理や公衆衛生戦略のための情報を得るのに役立つだろう。
C Midgleyたちは、米国で2020年1月20日から2月5日までにCOVID-19であることが確定された最初の12症例の解析を行った。患者は6つの州で見つかり、年齢は21歳から68歳、男性が8人、女性が4人だった。10人は最近中国に(うち9人は武漢市に)渡航しており、他の2人は米国のCOVID-19患者と濃厚接触していた。
患者は全員が軽度から中等度の症状を経験していて、発症時には8人に咳嗽が、7人には発熱が見られた。7人(うち4人は基礎疾患を持つ)が入院し、発症2週目に症状が悪化した。これは、発症2週目までモニタリングを行うことの重要性を明確に示している。5人の入院患者で呼吸困難が起こり、4人は酸素吸入を受けたが、人工呼吸器を必要とした患者はおらず、全員が回復した。
罹患中に、患者から448の検体[鼻、喉、痰(気道からの粘液)、血清、便、尿]が採取された。病因であるコロナウイルスSARS-CoV-2のRNAは、発症後のほぼ2〜3週間にわたって呼吸器系の検体で検出され、上気道のウイルスレベルが最も高かったのは最初の1週間だった。症状は6〜37日間続き、12人中7人では症状の消失後もSARS-CoV-2 RNAが検出されたが、その感染性や伝播性は今回の研究では調べられていない。
この12人の患者から採取された呼吸器系検体のゲノム解析によって、ウイルスの類似性が高いことが明らかになった。この結果は、12人の患者は全員が集団発生(アウトブレイク)の初期に感染が見つかったことを示唆している。また、患者のうち3人は、現在臨床試験中の抗ウイルス薬レムデシビルの投与に忍容性を示したが、その有効性や安全性を評価することは今回はできなかった。
doi:10.1038/s41591-020-0877-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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