医学研究:中国武漢におけるCOVID-19の全致命率の推定
Nature Medicine
2020年3月20日
中国武漢でのCOVID-19による症候性症例の全致命率は、2020年2月29日の時点で1.4%であるとする論文がNature Medicine に掲載される。この数字は、これまで考えられていたよりもかなり低い。
2020年2月29日の時点で、中国本土で確認されたCOVID-19の感染者数は7万9394例で死者は2838人、そのうち武漢での症例は4万8557例、死者は2169人であった。新規病原体が出現した際に公衆衛生上重要となる優先事項は、臨床的な重症度の推定である。トリアージや診断の決定過程に影響するこの数字は、患者と医療者にとって重要であり、ラボでの検査がすぐに行えなかったり、医療機関の対処能力を超えている場合などにはさらに重いものとなる。
今回、J Wuたちは、論文発表された情報と公式に入手できる情報を使って、以前に報告したこの病気の感染動態モデルを更新し、臨床的重症度の推定値の予備的セットを決定した。この値は、感染が世界的に広がり続けている中で、臨床上、また公衆衛生上の意思決定に役立つと考えられる。2020年2月29日の時点で、武漢の症候性症例の致命率(COVID-19の症状を発症した後で死亡する確率)は1.4%と著者たちは決定した。30~59歳の患者と比較した場合、発症後に死亡する確率は30歳未満では0.6倍、60歳以上では5.1倍だった。また症状を伴う感染のリスクは、年齢とともに上昇し、例えば30〜60歳の成人では年齢が1歳上がるごとに約4%高まることが分かった。これらの知見は、症候性症例の致命率(症状をともなう症例の致命率)は、他の推定値、特に粗死亡率(全感染者数に対する死亡者数の割合)よりもかなり低いことを示している。
doi:10.1038/s41591-020-0822-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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