気候変動:北極の温暖化は、世界の他の地域のほぼ4倍のスピードで進んでいる
Communications Earth & Environment
2022年8月12日
北極の温暖化のスピードは、これまで考えられていた以上に全球平均を上回っていることを報告する論文が、Communications Earth & Environment に掲載される。このように北極の温暖化が加速していることは、北極の地球温暖化に対する感受性が現在の推定よりも高いことを示唆している。
北極の温暖化は、平均して、世界の他の地域の2~3倍のスピードで進行していることが以前の研究によって報告されている。この現象は「北極増幅」と呼ばれる。
今回、Mika Rantanenたちの研究チームは、1979~2021年の北極圏の観測データを解析し、この期間中に北極海の大部分で10年間に0.75℃の気温上昇があったとする推定結果を発表した。これは、全球平均の少なくとも4倍の気温上昇だった。一方、北極海のユーラシア・セクター(スヴァールバル諸島とノヴァヤゼムリャ列島の付近)では、気温上昇が10年間に1.25℃のペースに達し、世界の他の地域の7倍のスピードであることが判明した。Rantanenたちは、海氷減少の進行が原因となって北極増幅が時間の経過とともに激化しているという見解を示している。
また、Rantanenたちは、気候モデルによる予測では、1979年から2021年までの北極増幅が一般に過小評価されていた可能性がある点を指摘しており、北極増幅の背後で働いている機構とこれらの機構の気候モデルへの反映に関する詳細な研究を行うことを提唱している。
doi:10.1038/s43247-022-00498-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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