天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見される
Nature
2024年11月21日
非常に若い恒星をトランジット(通過)する巨大惑星の発見を報告する論文が、Nature に掲載される。この発見は、これまで発見された中で最も若いトランジット惑星であることを示している。
科学者たちはこれまでにも、1,000万年から4,000万年前の恒星の周囲に十数個のトランジット惑星(恒星と地球のような観測者の間を通過する惑星)を発見している。しかし、より若いトランジット惑星は発見されていなかった。これはおそらく、惑星がまだ完全に形成されていないか、あるいは残留する原始惑星系円盤(惑星が形成される、形成されたばかりの恒星を取り囲む高密度のガスと塵のリング)に視界が遮られているためだと考えられる。
Madyson Barberらは、NASAのトランジット系外惑星探索衛星(TESS:Transiting Exoplanet Survey Satellite)のデータを分析し、地球に比較的近い(160パーセク)若い恒星(300万年前)、IRAS 04125+2902を観測した。この恒星を取り囲む外側の原始惑星系円盤は、ずれた位置にあり、横向きではなくほぼ正面を向いている。著者らは、主系列星を周回する惑星として頻繁に発見される、スーパーアース(巨大地球型惑星)やサブネプチューン(海王星型惑星)の先駆けである可能性を示唆している。
この恒星と惑星の年齢が若いこと、円盤のずれが稀であること、および地球に比較的近いことを考えると、この星系は惑星形成の初期段階を研究するのに有効なターゲットになりうる、と著者らは示唆している。
- Article
- Published: 20 November 2024
Barber, M.G., Mann, A.W., Vanderburg, A. et al. A giant planet transiting a 3-Myr protostar with a misaligned disk. Nature 635, 574–577 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08123-3
doi:10.1038/s41586-024-08123-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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