Research Press Release

健康:砂糖入り飲料による糖尿病と心血管疾患の世界的リスクを評価

Nature Medicine

2025年1月7日

2020年には、世界で新たに発症する2型糖尿病の約10件に1件、心血管疾患の約30件に1件が、砂糖入り飲料の消費に起因する可能性がある。最も多くの症例が関連付けられたのは、サハラ以南のアフリカ、ラテンアメリカ、およびカリブ海地域であった。これらの調査結果は、184カ国を対象としたモデル推定に基づくもので、Nature Medicine に掲載される。

ソーダ、フルーツドリンク、エナジードリンク、およびレモネードなど、砂糖入り飲料の消費量は世界的に増加している。これらの飲料の摂取に関連する健康リスクとして、体重増加や2型糖尿病のリスク増加などであるが、砂糖入り飲料が世界的に健康に及ぼす影響は、最近まで定量化されていなかった。

Laura Lara-Castorらは、個人レベルの食事調査に基づく砂糖入り飲料の消費量の推定値を、肥満および糖尿病の発生率に関するデータとともに盛り込んだ「Global Dietary Database(世界食事データベース)」のデータを分析した。研究チームは、これらのデータを組み合わせたモデルで、砂糖入り飲料に起因する世界的な2型糖尿病および心血管疾患の負担を推定した。184カ国の人口におけるこれらの影響をモデル化し、Lara-Castorらは、2020年には、これらの飲料が原因で世界中で新たに220万人が2型糖尿病、120万人が心血管疾患を発症すると推定した。世界地域別では、ラテンアメリカ、カリブ海地域、およびサハラ以南のアフリカで最も大きな負担が見られることが分かった。1990年から2020年までの傾向を評価したところ、サハラ以南のアフリカでは2型糖尿病と心血管疾患の割合が最も増加しており、それぞれ8.8%、4.4%増加していることが分かった。Lara-Castorらは、今回の調査結果は関連性を特定したものであり、食品消費と結果に関する入手可能なデータが限られている国々における不確実性の高い想定に基づく推定値に基づいていると指摘している。

著者らは、経済発展途上地域における砂糖入り飲料の消費に起因する心血管代謝性疾患の負担が顕著で増加しているのは、より西洋化した食生活パターンへの移行を反映していると結論づけている。そして、関連する疾患負担を軽減するために、砂糖入り飲料の販売と消費を世界的に規制する効果的な政策と介入の必要性を主張している。

Lara-Castor, L., O’Hearn, M., Cudhea, F. et al. Burdens of type 2 diabetes and cardiovascular disease attributable to sugar-sweetened beverages in 184 countries. Nat Med (2025). https://doi.org/10.1038/s41591-024-03345-4
 

doi:10.1038/s41591-024-03345-4

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