Research Press Release

生物多様性:淡水生物の約4分の1が絶滅の危機に瀕している

Nature

2025年1月9日

23,000種以上を対象にした淡水生物の絶滅危機に関する詳細な評価により、調査された種の約24%が絶滅の危機に瀕していることが明らかになった。今週発行のNature に掲載される分析では、汚染、ダム、農業、および外来生物が主な脅威であることが特定された。この調査結果は、淡水生物の多様性の損失を減らすための今後の取り組みに役立つかもしれない。

淡水には、既知の全生物種の10%以上が生息しており、この多様性は、栄養素の循環、洪水制御、および気候変動の緩和など、さまざまな恩恵をもたらしている。淡水生態系は、生物多様性の損失の影響を受けているが、これらの生態系における生物種の絶滅リスクに関する包括的な評価はこれまで行われてこなかった。

Catherine Sayerらは、国際自然保護連合(IUCN:International Union for Conservation of Nature)の絶滅危惧種レッドリストのために、多種にわたる淡水生物相の評価結果を発表した。このリストには、23,496種の魚類、十脚類の甲殻類(カニ、ザリガニ、およびエビなど)、およびトンボ類(トンボやイトトンボなど)が含まれている。全体として、これらの種の4分の1近く(24%)が絶滅の危機に瀕しており、十脚類が最も高い割合で絶滅の危機に瀕している(30%、淡水魚は26%、およびトンボ類は16%)。調査対象となった種のなかで、絶滅危惧種の54%は汚染の影響を受けていると考えられ、39%はダムや水の抽出、37%は土地利用の変化や農業に関連する影響、そして28%は外来種や病気による影響を受けていると考えられる。

Sayer, C.A., Fernando, E., Jimenez, R.R. et al. One-quarter of freshwater fauna threatened with extinction. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08375-z
 

doi:10.1038/s41586-024-08375-z

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