動物の行動:カメは磁気地図が食べ物に導くと踊る
Nature
2025年2月13日
アカウミガメ(loggerhead turtle)は、ある地域の磁気の特徴を学習し記憶することができ、食べ物と関連付けた場所にいるときは「亀ダンス」を踊ることを報告する論文が、Nature に掲載される。この研究では、移動性動物種が地球の磁場を利用してどのようにして移動するのか、そのメカニズムが紹介されている。
ウミガメは、長距離を回遊することで知られており、季節ごとの移動や移動距離を経ても、餌場に戻ってくることが多い。このような種のナビゲーションの正確な仕組みは未だ解明されていないが、動物が地球の磁場を地図やコンパスとして利用していることを示す証拠が増えている。
ウミガメが地理的な地域の磁気シグネチャーを学習できるかどうかを確かめるため、Kayla Goforthらは、特定の地理的位置に関連する磁気シグネチャーを再現した水槽に子ガメを収容した。幼体は、2つの磁場に同じ時間だけ滞在したが、餌を与えられたのはそのうちの1つのみであった。餌場に近づくと、ウミガメは期待に胸を躍らせて踊り始める。この発見は、ウミガメが磁場の違いを学習し、内部に「磁気地図」を作り出すことができるという強い証拠を示している。著者らは、この感覚はウミガメの磁気「コンパス」とは別のメカニズムに依存していることを発見し、ウミガメにはナビゲーションを容易にする2つの異なる地磁気感覚があることを示唆している。
この発見は、アカウミガメのような回遊性種が長距離を移動する際に、地磁気を地図として利用している可能性を示唆している。著者らは、2つの異なる磁気受容の仕組みは、ほとんどの脊椎動物にも存在している可能性があると示唆しているが、これらのメカニズムの内部構造を解明するには、さらなる研究が必要である。
- Article
- Published: 12 February 2025
Goforth, K.M., Lohmann, C.M.F., Gavin, A. et al. Learned magnetic map cues and two mechanisms of magnetoreception in turtles. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08554-y
doi:10.1038/s41586-024-08554-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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