Research Press Release
【医学研究】骨折を素早く治すタンパク質
Nature Communications
2012年12月19日
マウスにおいて骨折の修復をスピードアップするタンパク質について報告する論文が、今週掲載される。骨前駆細胞によって分泌されるDJ-1タンパク質が、新しい骨細胞と新しい血管の形成を促進することで骨の再生を増進するのだ。
骨の再生は、骨芽細胞(骨細胞)、内皮細胞など数多くの種類の細胞が関与する複雑な過程だ。今回、P-G Suhの研究チームは、いわゆる間葉系幹細胞が骨芽細胞へ分化する際に間葉系幹細胞から分泌されるDJ-1タンパク質が、骨の形成を促進することを明らかにした。また、DJ-1は、内皮細胞からの新しい血管の発生も促進する。そして、Suhたちは、マウスにおいて、骨折部分へのDJ-1の適用によって、骨の再生と骨折部位での新たな血管の形成が増加し、その結果として、骨折が治癒するまでの所要時間が短縮されることを明らかにした。
今回の研究では、骨の再生に関与する、さまざまな種類の細胞間の情報伝達に関する解明が進み、ヒトに応用した場合には、DJ-1が骨折の修復に治療効果を示す可能性があることが示唆されている。
doi:10.1038/ncomms2313
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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