【生体力学】カエルが舌を伸ばして餌を獲得するための機構
Scientific Reports
2014年6月12日
ツノガエル(Ceratophrys sp.)は、自分の体の大きさと比べて非常に大きな餌を食べることができるが、それは、ねばねばした舌の強力な牽引作用のおかげであることが明らかになった。そして、舌の接着力が、カエル自身の体重を超え、どのような餌の重量をも軽く超えているという見方も示された。研究の詳細を報告する論文が、今週掲載される。
多くのカエルは、粘着性の高い舌を持っており、それによって餌を捕まえて、口の中に引き入れることができるが、この作用の強度と接着性を生み出す機構については、ほとんど解明されていない。今回、Thomas Kleinteichたちは、ツノガエル属のカエルの舌の接着性能を測るため、このカエルに対して、ガラスパネル越しに餌を見せて、舌を伸ばさせ、このガラスに加わる圧力を測定した。その結果、舌の牽引力が、カエルの体重の最大3倍に達することが判明し、その牽引力が、ガラスパネルに対する衝撃圧に比例し、衝撃時間に反比例することも明らかになった。また、餌と接触する舌の領域を覆う粘液が少ないと接着力が高まることも分かったが、このことは、粘液自体が単なる液状接着剤やのりの一種として加わっているのではない可能性を示唆しており、舌の表面が接着力に大きく役立っていることを示している。
Kleinteichたちは、天然の餌の表面材質の特性にもっと近い構造と表面化学特性を有するさまざまな物体表面(例えば、毛皮、羽毛、角皮)の上でもカエルの舌が同様の接着力を発揮するかどうかは、今後の研究によって明らかにされると考えている。ただし、カエルの舌の性質は、接着テープや接着ラベルといった一般的な工業用用途のある感圧接着剤によく似ていることが、今回の実験データによって明らかになっている。
doi:10.1038/srep05225
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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