Research Press Release

【動物学】カメレオンはフォトニック結晶をカムフラージュに利用する

Nature Communications

2015年3月11日

カメレオンは格子状の皮膚細胞を能動的に調整することで、体色を急速に変化させるという報告が、今週掲載される。カメレオンの体色変化は、他の生物の場合のような色素の蓄積や分散ではなく、皮膚による光の反射に影響する構造変化に依存することが、今回の研究で明らかになった。

体色を急速に変化させる能力は、カメレオンにとって極めて重要で、カメレオンは、これをカムフラージュと社会的相互作用に利用している。今回、Michel Milinkovitchたちは、カメレオンにおいて、形状の異なる光反射細胞の2つの層が重なった状態が進化したことを明らかにした。カメレオンは、皮膚をリラックスさせ、あるいは興奮させることによって上側の細胞層の構造配置を変化させて、体色を変化させる。これは、能動的フォトニック結晶構造の挙動に似ている。また、Milinkovitchたちは、皮膚の下側の分厚い細胞層によって近赤外領域の太陽光が大量に反射されることも明らかにし、下側の層が受動的断熱の役割を果たしている可能性があるという考え方を示している。

今回の研究では、色素と構造変化の組み合わせによって体色の活発な変化が生じる過程に関する手掛かりがもたらされただけでなく、赤外線を反射する下側の細胞層の進化上の役割に関する新たな疑問も生じている。

doi:10.1038/ncomms7368

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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