Nature ハイライト
集団生物学:自律的に維持される捕食者–被食者サイクル
Nature 577, 7789
捕食者–被食者サイクルは生態学において最も基本的な概念の1つだが、特徴的な位相関係を持つ循環的な動態が数周期の振動を超えて持続し得ることを示す実験的証拠はこれまで得られていない。今回B Blasiusたちは、水生群集(浮遊性の輪形動物とその被食者である単細胞性の緑藻類からなる)における実験で、こうした限界を大きく上回る約50サイクル(捕食者の約300世代に相当し、被食者についても少なくとも同等の世代数に相当する)にわたって続く振動を観察したことを報告している。律動的な栄養供給という外的強制は、強制を加えない実験で観察されたのと同じ位相関係を持つ持続性の循環的動態につながった。今回の知見は、確率論的な事象に際して復元力を示す循環的な動的領域において捕食者集団と被食者集団とが永続的に共存し得る可能性を示している。
2020年1月9日号の Nature ハイライト
天文学:反復する高速電波バーストの2例目の位置特定
物性物理学:アモルファス2D材料
ナノスケール材料:プロトンを使ってグラフェン膜の皺を伸ばす
材料科学:ひずませて安定化させる
集団生物学:自律的に維持される捕食者–被食者サイクル
神経科学:探索者の脳
微生物学:宿主の中にバリケードを築いてファージDNAを囲い込む
神経免疫学:社会的行動の調節における全身性炎症の役割
遺伝学:潰瘍性大腸炎における炎症遺伝子の変異
遺伝学:正常組織と炎症が関わる腫瘍組織におけるクローン選択パターン
分子生物学:別の方法によるターゲッティング