Nature ハイライト

分子生物学:別の方法によるターゲッティング

Nature 577, 7789

ほとんどのCRISPR系は、外来DNAを分解するための装置を自身でコードしているが、タイプIのCRISPR系はCas3タンパク質を持たないこともある。Cas3を欠失したこのような系は、トランスポゾンのTn7ファミリーがコードするタンパク質、とりわけTniQを乗っ取ることによって、DNAのターゲッティングと挿入を進めることが最近判明している。I Fernándezたちは今回、Cascade–TniQ複合体の標的DNAと結合した状態と結合しない状態のクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を解いた。その結果、TniQは複合体中で二量体を形成していて、これがCRISPR RNAの3′末端近くに位置することが分かった。モデル作成により、トランスポザーゼがコードする他の複数のタンパク質が結合して挿入を促進するらしい仕組みが示唆された。これらの知見は、ゲノムへの正確な挿入を可能にする新たな系の開発につながるかもしれない。

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