Nature ハイライト
分子生物学:別の方法によるターゲッティング
Nature 577, 7789
ほとんどのCRISPR系は、外来DNAを分解するための装置を自身でコードしているが、タイプIのCRISPR系はCas3タンパク質を持たないこともある。Cas3を欠失したこのような系は、トランスポゾンのTn7ファミリーがコードするタンパク質、とりわけTniQを乗っ取ることによって、DNAのターゲッティングと挿入を進めることが最近判明している。I Fernándezたちは今回、Cascade–TniQ複合体の標的DNAと結合した状態と結合しない状態のクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を解いた。その結果、TniQは複合体中で二量体を形成していて、これがCRISPR RNAの3′末端近くに位置することが分かった。モデル作成により、トランスポザーゼがコードする他の複数のタンパク質が結合して挿入を促進するらしい仕組みが示唆された。これらの知見は、ゲノムへの正確な挿入を可能にする新たな系の開発につながるかもしれない。
2020年1月9日号の Nature ハイライト
天文学:反復する高速電波バーストの2例目の位置特定
物性物理学:アモルファス2D材料
ナノスケール材料:プロトンを使ってグラフェン膜の皺を伸ばす
材料科学:ひずませて安定化させる
集団生物学:自律的に維持される捕食者–被食者サイクル
神経科学:探索者の脳
微生物学:宿主の中にバリケードを築いてファージDNAを囲い込む
神経免疫学:社会的行動の調節における全身性炎症の役割
遺伝学:潰瘍性大腸炎における炎症遺伝子の変異
遺伝学:正常組織と炎症が関わる腫瘍組織におけるクローン選択パターン
分子生物学:別の方法によるターゲッティング