Nature ハイライト
遺伝学:正常組織と炎症が関わる腫瘍組織におけるクローン選択パターン
Nature 577, 7789
慢性炎症では組織の損傷と修復が繰り返され、これが体細胞変異を持つクローンの増殖を引き起こし、組織の再構築や機能不全を駆動する。慢性炎症はがんの大きなリスクの1つだが、生理学的に正常な組織でも加齢に伴って広範な組織再構築が起こる。小川誠司(京都大学)たちは今回、全エキソーム塩基配列を解読し、潰瘍性大腸炎の患者の組織において、炎症に関連する複数の新規変異を見いだした。これらの変異は、炎症性IL-17シグナル伝達経路に関わる遺伝子サブセットの周囲に集中しており、IL-17シグナル伝達を抑制する変異が正の選択を受けていた。これらの変異は大腸がん組織には存在しないようであり、著者たちは、これらの変異が形質転換の過程で負の選択を受けると考えている。
2020年1月9日号の Nature ハイライト
天文学:反復する高速電波バーストの2例目の位置特定
物性物理学:アモルファス2D材料
ナノスケール材料:プロトンを使ってグラフェン膜の皺を伸ばす
材料科学:ひずませて安定化させる
集団生物学:自律的に維持される捕食者–被食者サイクル
神経科学:探索者の脳
微生物学:宿主の中にバリケードを築いてファージDNAを囲い込む
神経免疫学:社会的行動の調節における全身性炎症の役割
遺伝学:潰瘍性大腸炎における炎症遺伝子の変異
遺伝学:正常組織と炎症が関わる腫瘍組織におけるクローン選択パターン
分子生物学:別の方法によるターゲッティング