Nature ハイライト

神経変性:αシヌクレイン株の特定による診断

Nature 578, 7794

シヌクレイノパチーは、αシヌクレインというタンパク質のミスフォールディング(誤った折りたたみ)や凝集を特徴とする神経変性疾患の総称である。異なる疾患で見られる凝集体は、コンホメーションの異なる別個のαシヌクレイン株に相当し、これらの株は、正常なαシヌクレインを変化させて、細胞から細胞へと伝播できると考えられている。パーキンソン病と多系統萎縮症はそれぞれ予後が異なり、別々の治療を必要とするシヌクレイノパチーだが、臨床では見分けるのが難しい。今回C SotoとM Shahnawazたちは、タンパク質ミスフォールディング循環増幅(PMCA;protein misfolding cyclic amplification)技術を用いて、患者の脳脊髄液中に見られる少量のαシヌクレインを増幅し、解析を行った。その結果、αシヌクレイン凝集体の特徴によって、パーキンソン病と多系統萎縮症の患者とを高い感度と特異性で識別することができた。さらに、患者の脳脊髄液中の凝集体は、脳内の凝集体の状態を正しく反映していることも分かった。このように、臨床的に異なるシヌクレイノパチーでは、αシヌクレイン凝集体が、異なる生化学的・構造的性質を持つ別個のコンホメーション株として存在していると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度