Nature ハイライト
構造生物学:アゴニストを内蔵するオーファン受容体
Nature 579, 7797
ヒトゲノム中に存在する約800種のGタンパク質共役受容体の大部分はリガンドによって活性化され、それがGタンパク質の活性化と下流のシグナル伝達へつながる。だが、Gタンパク質共役受容体のうちの100種以上は、内在性のリガンドがまだ知られていないオーファン受容体である。GPR52はオーファン受容体であり、脳でドーパミン受容体と共局在しているため、精神疾患やハンチントン病の治療標的候補と考えられている。今回F XuたちはGPR52について、オーファン受容体としては初めて、リガンドが結合していない状態、Gタンパク質と複合体を形成した状態、そしてリガンドの1つが結合した状態の構造を報告している。これらの構造から、受容体の細胞外ループの1つが分子に内蔵されているアゴニストとして働いていて、折りたたまれて典型的な結合ポケットに入り、受容体を活性化することが明らかになった。
2020年3月5日号の Nature ハイライト
物性物理学:モアレ格子における相関トポロジカル相
人工知能:超高速マシンビジョン
地球科学:プレート内火山活動の深部の濡れた起源
生態学:島嶼の鳥類で裏付けられた島嶼生物地理学の理論
生体力学:ヒトの歩き方
細胞生物学:血管が骨の修復に影響を及ぼす
生理学:健康な老化を妨げるもの
微生物学:マウスにおいて明らかにされた微生物代謝物
構造生物学:アゴニストを内蔵するオーファン受容体