Nature ハイライト
電池:アニオンレドックス機構の妥当性確認
Nature 594, 7862
これまで以上に大容量のリチウムイオン電池カソード材料の探求において、一部の遷移金属酸化物は、収容できるはずの量より多いリチウム原子を収容しているように思われる。つまり、そうした遷移金属酸化物材料は、特定の電圧において、遷移金属単独と結合し得る量のリチウムよりも多くのリチウムを取り込む。この現象は、格子中の一部の酸素原子がレドックス活性であるため、さらなるリチウム挿入が可能になるという、アニオンレドックス理論によって説明できるとされている。今回V Viswanathanたちは、高エネルギーX線コンプトン測定を用いてリチウム過剰系カソードを調べることによって、リチウム容量増大の原因となる電子軌道を発見し、可視化している。この結果は、アニオンレドックス機構を裏付ける決定的な証拠であり、カソード材料設計の今後の進歩への道を開くものだと、著者たちは述べている。
2021年6月10日号の Nature ハイライト
顕微鏡学:量子の力で顕微鏡の分解能を高める
計算機工学:コンピューターチップ設計の加速化
電池:アニオンレドックス機構の妥当性確認
進化学:太古の顕花植物の手掛かり
微生物学:太古の腸内マイクロバイオーム
コロナウイルス:SARS-CoV-2が宿主の遺伝子発現を遮断する仕組み
コロナウイルス:SARS-CoV-2感染のマルチオミクス像
コロナウイルス:アジュバントによるワクチンの増強
コロナウイルス:COVID-19の長く残る症状を詳しく描写
がん:光への曝露とグリオーマ増殖を結び付ける