Nature ハイライト

がん:光への曝露とグリオーマ増殖を結び付ける

Nature 594, 7862

神経繊維腫症1型はがん素因症候群の1つで、腫瘍抑制因子NF1に生じたヘテロ接合性生殖細胞系列変異が原因である。この病気の患者で見られる腫瘍の1つに、幼児期に発症する視神経グリオーマがある。Nf1ヘテロ接合のマウスモデルでは、起源細胞での後天性の体細胞Nf1変異がグリオーマ形成を引き起こす。しかしこれまでの研究で、グリオーマ形成は腫瘍微小環境内の非腫瘍細胞中に見られるNf1ヘテロ接合性にも依存していることが示されている。M Monjeたちは今回、視神経グリオーマを発症するNf1ヘテロ接合マウスモデルの解析から、マウスを一時的に暗所で育てるとグリオーマ形成が減少するが、視神経活動を刺激した場合にはグリオーマ増殖が促進されることを明らかにしている。神経活動は、Nf1ヘテロ接合マウスでは視神経でのニューロリギン3のシェディングを刺激するが、野生型マウスではそのような影響がないことが分かった。ニューロリギン3のシェディングは、網膜神経節細胞で発現するプロテアーゼADAM10によって調節される。ADAM10の阻害はグリオーマ増殖を抑制することが分かり、これは治療に関係すると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度