Nature ハイライト
微生物学:太古の腸内マイクロバイオーム
Nature 594, 7862
ヒトの工業社会の生活様式への移行と腸内微生物の多様性の喪失は同時に起こっており、そうした腸内微生物の多様性の低下が、特に西洋の集団で、いくつかの慢性疾患と関連付けられることを示唆する証拠が増えてきている。しかし、ヒトの遺骸は保存状態が不十分であることが多く、研究が難しいために、我々の祖先の腸内マイクロバイオームについての手掛かりを得るのは特に困難である。A Kosticたちは今回、ヒトの古糞便(palaeofaeces)であると確証された、1000〜2000年前の試料に由来する微生物ゲノムの大規模なde novoアセンブリを行っている。これらの古糞便試料は、米国南西部およびメキシコの岩陰遺跡で発見された、保存状態の極めて良好なもので、今回の研究では、ヒトの腸内マイクロバイオームの進化史について他に類のない手掛かりが得られただけでなく、現代のヒトでは失われていると見られる共生微生物が新たに複数種特定された。
2021年6月10日号の Nature ハイライト
顕微鏡学:量子の力で顕微鏡の分解能を高める
計算機工学:コンピューターチップ設計の加速化
電池:アニオンレドックス機構の妥当性確認
進化学:太古の顕花植物の手掛かり
微生物学:太古の腸内マイクロバイオーム
コロナウイルス:SARS-CoV-2が宿主の遺伝子発現を遮断する仕組み
コロナウイルス:SARS-CoV-2感染のマルチオミクス像
コロナウイルス:アジュバントによるワクチンの増強
コロナウイルス:COVID-19の長く残る症状を詳しく描写
がん:光への曝露とグリオーマ増殖を結び付ける