Nature ハイライト

微生物学:太古の腸内マイクロバイオーム

Nature 594, 7862

ヒトの工業社会の生活様式への移行と腸内微生物の多様性の喪失は同時に起こっており、そうした腸内微生物の多様性の低下が、特に西洋の集団で、いくつかの慢性疾患と関連付けられることを示唆する証拠が増えてきている。しかし、ヒトの遺骸は保存状態が不十分であることが多く、研究が難しいために、我々の祖先の腸内マイクロバイオームについての手掛かりを得るのは特に困難である。A Kosticたちは今回、ヒトの古糞便(palaeofaeces)であると確証された、1000〜2000年前の試料に由来する微生物ゲノムの大規模なde novoアセンブリを行っている。これらの古糞便試料は、米国南西部およびメキシコの岩陰遺跡で発見された、保存状態の極めて良好なもので、今回の研究では、ヒトの腸内マイクロバイオームの進化史について他に類のない手掛かりが得られただけでなく、現代のヒトでは失われていると見られる共生微生物が新たに複数種特定された。

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