Nature ハイライト
コロナウイルス:SARS-CoV-2が宿主の遺伝子発現を遮断する仕組み
Nature 594, 7862
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は他のウイルスと同様に、細胞に感染する際、細胞の翻訳機構を乗っ取って、宿主タンパク質の翻訳を遮断することで、ウイルス自身のタンパク質翻訳を確保し、抗ウイルス防御機構を阻害する。今回N Stern-Ginossarたちは、RNA塩基配列解読、リボソームプロファイリング、新たに合成されるRNAの代謝標識を組み合わせて、SARS-CoV-2が感染細胞で宿主の遺伝子発現を遮断する仕組みを調べている。彼らは、感染は細胞質ゾル中の細胞由来mRNAの分解促進を引き起こし、感染によって誘導される細胞の転写産物(抗ウイルス応答に関与するmRNA)が、おそらく核–細胞質間輸送の阻害によってリボソームへ到達するのを妨げることを見いだした。
2021年6月10日号の Nature ハイライト
顕微鏡学:量子の力で顕微鏡の分解能を高める
計算機工学:コンピューターチップ設計の加速化
電池:アニオンレドックス機構の妥当性確認
進化学:太古の顕花植物の手掛かり
微生物学:太古の腸内マイクロバイオーム
コロナウイルス:SARS-CoV-2が宿主の遺伝子発現を遮断する仕組み
コロナウイルス:SARS-CoV-2感染のマルチオミクス像
コロナウイルス:アジュバントによるワクチンの増強
コロナウイルス:COVID-19の長く残る症状を詳しく描写
がん:光への曝露とグリオーマ増殖を結び付ける