Nature ハイライト
考古学:ニューファンドランド島にバイキングが居住していた年代
Nature 601, 7893
ノース人(バイキング)が大西洋を渡り、ニューファンドランド島北部のランス・オ・メドー(LʻAnse aux Meadows;LAM)遺跡の場所に集落を形成したことは、以前から知られている。ノース人の物語からは、LAMでの居住がさほど長く続かなかったことが示唆されているが、これまで放射性炭素年代測定法で得られた年代は不正確で、ノース人がこの地に存在した年代の推定は、バイキング時代全体(紀元793〜1066年)と幅があった。今回M Deeたちは、1年の精度で年代を特定できる比較的新しい放射性炭素年代測定法を用いて、ノース人のLAMでの居住が紀元1021年であったことを明らかにしている。この証拠は、正確な伐採年が特定可能な木製人工物の新たな放射性炭素年代測定値と、紀元993年に宇宙線の活動が急激に活発化したことで大気中の14Cの量が急増した、という偶然の天文学的事象によってもたらされた。今回の結果は、バイキングがLAMに存在したのが今からちょうど1000年前であったことを示しており、これは、コロンブスの大航海以前に大西洋を渡ったヨーロッパ人の存在を示す唯一の確かな暦年となる。
2022年1月20日号の Nature ハイライト
天文学:ブラックホールが誘発した星形成
天文学:局所バブルの膨張が促した太陽近傍の星形成
光物理学:非エルミートなフロケ準結晶に見つかった三重相転移
材料科学:無機–有機ハイブリッド材料の構造決定
化学生物学:ナノ粒子のキラリティーが免疫応答に及ぼす影響
気候科学:21世紀末にはスバールバル諸島の質量損失が2倍になる
環境化学:COVID-19ロックダウン期間中に減少したNO2濃度
考古学:ニューファンドランド島にバイキングが居住していた年代
考古学:バイキングは略奪ではなく交易によって拡大した
神経科学:ヒト皮質ニューロンの発生系譜
神経科学:ニューロンが多様性を獲得するタイミング
コロナウイルス:第2世代COVID-19 mRNAワクチンの有効性
免疫学:炎症部位での免疫細胞の挙動の全体像
ヒトの発生:妊娠評価のためのリキッドバイオプシー
がん:バリンtRNAの脱調節による白血病の抑制
がん:クロマチン因子の標的化による腫瘍増殖阻害
分子生物学:レトロエレメントに対するゲノム防御機構
分子生物学:マイクロRNAを選別する
創薬:110億個を超える化合物を調べる方法
構造生物学:分子シャペロンがクライアントタンパク質の構造を整える仕組み