Nature ハイライト 宇宙:見えたり見えなかったりする星 2006年2月16日 Nature 439, 7078 ほぼ絶え間なく電波を放射している星がある一方で、コンパクトな中性子星には、空に浮かぶ灯台のように間欠的に電波を放出するものがある。しかしM McLaughlinたちによると、こうした星のほかにも、はっきりとしたアウトバーストのパターンを示さずに不規則に明るくなったり暗くなったりするものがあるらしい。 McLaughlinたちは新しい種類の天体を発見し、それを回転する電波トランジェント(RRAT; rotating radio transient)と名づけた。RRATは、数分〜数時間の「暗い」時間を挟んで、2〜30ミリ秒の間持続する短時間の電波バーストを放射する。これらの天体から放射される電波シグナルが観測される時間は、一日あたりの総計で1秒未満というのが普通だという。 この種のトランジェント電波源を探すために行われた4年間の探査で、こうした天体が11個発見された。明るい時間は非常に短いが、それでもそのうちの10個の天体には周期性があるようで、0.4〜7秒のサイクルを繰り返しているようだ。言い換えるとこれらの天体は、長い停電が不規則にしょっちゅう起こる灯台のようなものだといえる。 こうした運転停止が起きる原因は何だろうか。McLaughlinたちは、RRATが回転する中性子星の一種であると考えているが、それ以上のことにはまだ確信がないという。しかし、RRATはたくさんあるらしく、我々の銀河系には規則的にパルスを放射している中性子星よりずっと多数のRRATがあるはずだと彼らは考えている。RRATはほとんどの時間は「暗い」ので、どうやらそれは、時間をかけて一生懸命観測しないと見えないだけのようだ。 2006年2月16日号の Nature ハイライト 宇宙:見えたり見えなかったりする星 神経:サルの脳はよい悪いを評価する 気候:植物からの蒸散が減るにつれて大陸規模での河川流出量が増加する 植物:明らかになった同系交配の予防機構 化学:イオン性液体も気体になる 目次へ戻る