Nature ハイライト

進化神経科学:コウモリ類の内耳構造

Nature 602, 7897

Yangochiroptera亜目に属するグレーウサギコウモリ(<i>Plecotus austriacus</i>)。ヨーロッパに生息し、反響定位を用いて昆虫を捕食する。
Yangochiroptera亜目に属するグレーウサギコウモリ(Plecotus austriacus)。ヨーロッパに生息し、反響定位を用いて昆虫を捕食する。 | 拡大する

Credit: CreativeNature_nl / iStock / Getty Images Plus

コウモリ類は従来、ココウモリ類(小翼手類;反響定位を行う小型の種)とオオコウモリ類(大翼手類;視覚を多用してナビゲーションを行う果実食の大型の種)に分類されてきた。2000年、オオコウモリ類と一部のココウモリ類を1つの分類群とし、残りのココウモリ類を別の分類群とする新たな系統発生解析の結果がNatureで発表され、これらの分類群は後にそれぞれYinpterochiroptera亜目およびYangochiroptera亜目と命名された。この分類法では、コウモリ類の喉頭反響定位は、共通祖先で1回だけ進化して後にオオコウモリ類で失われたか(だとすれば、痕跡を残さずに消失したことになる)、あるいは2つの亜目で別々に1回ずつ進化したかのいずれかであると示唆されている。しかし、この分類法はこれまで分子系統発生学的な証拠からしか支持されておらず、異論があった。今回Z Luoたちによって、多様なコウモリ類で内耳の神経構造が詳細に調べられ、それに基づいて、この分類法を裏付ける既知で最初の解剖学的相関が示された。

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