Nature ハイライト
進化神経科学:コウモリ類の内耳構造
Nature 602, 7897
コウモリ類は従来、ココウモリ類(小翼手類;反響定位を行う小型の種)とオオコウモリ類(大翼手類;視覚を多用してナビゲーションを行う果実食の大型の種)に分類されてきた。2000年、オオコウモリ類と一部のココウモリ類を1つの分類群とし、残りのココウモリ類を別の分類群とする新たな系統発生解析の結果がNatureで発表され、これらの分類群は後にそれぞれYinpterochiroptera亜目およびYangochiroptera亜目と命名された。この分類法では、コウモリ類の喉頭反響定位は、共通祖先で1回だけ進化して後にオオコウモリ類で失われたか(だとすれば、痕跡を残さずに消失したことになる)、あるいは2つの亜目で別々に1回ずつ進化したかのいずれかであると示唆されている。しかし、この分類法はこれまで分子系統発生学的な証拠からしか支持されておらず、異論があった。今回Z Luoたちによって、多様なコウモリ類で内耳の神経構造が詳細に調べられ、それに基づいて、この分類法を裏付ける既知で最初の解剖学的相関が示された。
2022年2月17日号の Nature ハイライト
材料科学:内蔵されたエネルギー源
量子物理学:核スピンを用いたレジスター
プラズマ物理学:深層強化学習によるトカマクの設計
計測学:多重化光格子時計の実現
物性物理学:異常金属散乱のスケーリング
材料科学:高強度アルミニウム合金の捕捉水素の解析
環境科学:夜間の温暖化が地球規模の火事を強める
進化神経科学:コウモリ類の内耳構造
植物科学:成長損失を伴わないうどんこ病抵抗性
神経科学:海馬場所細胞の視覚選択性
神経科学:喉の渇きが癒される仕組み
ウイルス学:アルファウイルスはリポタンパク質受容体を使って感染する
免疫学:白血病寛解後の長期持続CAR T細胞の特徴
がん遺伝学:がんに見られるクラスター形成変異とAPOBEC3の役割
細胞生物学:多形性グリオブラストーマでの変異はEGF受容体の二量体化に影響する
計算生物学:新規タンパク質の設計はまず骨格を決めてから
構造生物学:シナプス外に存在するαβ GABAA受容体の構造